それから数十年を経て、私はまたドイツに駐在する機会に恵まれました。欧州統括会社でブランドコンセプトやコミュニケーション戦略を立案する仕事でした。今度はフランクフルトから車で30分ほどのヴィースバーデンと街。有名な温泉保養地として知られる閑静な所でした。仕事仲間にはドイツ人はもちろん、フランス人、英国人もいて多国籍メンバーでした。SIEMENSでの体験もあったのである程度予測はできていましたが、勤務時間は9時から5時ぐらい。夜の6時になるとほぼ日本人以外は会社からいなくなります。そして週末は金曜日から会社に来ないメンバーも、ちらほら。日本では、多くの人はほぼ決まった時期にゴールデンウィーク、夏休みや正月休みという長期休暇を取りますが、ドイツのメンバーは「明日からバケーション!2週間後に戻ってくるから」と自分の好きな時期に休みを取るようでした。
根本的な違いはドイツ政府が労働時間を法律で厳しく制限していること。ドイツでには労働時間法(ArbZG)」で、平日(月~土)1日当たりの労働時間は8時間を超えてはならないという規制があるそうです。日本でも労働基準法によって、1週間の労働時間の上限は40時間、1日8時間と決まっていますが、大きな違いは規制へのチェック体制。ドイツでは労働安全局が立ち入り検査を行って、企業が労働時間法に違反していないかどうか厳しくチェックを行っているということ。労働安全局の係官は時折、事前の予告なしに企業を訪れて、労働時間の記録を点検までするそうです。
日本でも働き方改革などによって徐々に変化は見受けられるようですが、生活者の習慣や意識(私も含めてですが)に根付いている、日本 vs ドイツの働き方のギャップはそう簡単には埋まらないように思えます。
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