「ランチにビール!その後はティータイム」日本 vs ドイツの働き方 vol.1

コミュニケーション

私の社会人としてのスタートは超音波診断装置の設計・開発をする技術者でした。SIEMENSやPhillipsへOEM(original equipment manufacturer), 相手先ブランド製品を製造する仕事で、設計が完了し、いよいよ出荷の段階になるとドイツからやってきたSIEMENSの技術メンバーへレクチャーをしたり、SIEMENS本社があるドイツのエアランゲンという都市に出張する機会が幾度かありました。

まだ私が20代の頃、SIEMENS本社へ出張した時、日本との働き方の大きな違いを感じました。試作機のある回路に不具合があったため、それを修理するための出張だったのですが、出勤は10時ぐらい、12から13時がランチタイムでした。SIEMENS本社の食堂でみんなと一緒に食べたのですが、何とランチでもビールを頼めたのです。日本ではもちろんあり得ないこと。お昼といっても20分ぐらいで食べて、その後、職場の仲間とバレーボールをしたりテニポン(テニスと卓球の合いの子のようなスポーツ)をしたり、忙しく過ごす日本のランチタイムとは大きく異なりました。(もちろん今の時代はだいぶ違っていますけど)

ドイツでは1時間ゆったりとランチを取りました。そして職場に戻るとティータイム。これも驚きでした。一体いつ働き始めるのか、といった感じ。私は不具合を修復するためには遥々出張していたので、一刻も早く自分の仕事を進めたいと思っていたので、どうしてもお昼時にゆっくり過ごす気分になれませんでした。ようやく1時半ぐらいから仕事再開。そして5時をすぎたぐらいだったでしょうか。「今日はもう終わりにしよう。」とSIEMENSの技術者から言われました。毎日この調子?一体この人たちの労働時間は?そしてその後「日本に頼むと速くできるからいいね」とも言われました。私は心の声でつぶやきます「当たり前だよね!こっちは毎日、8時から22時ぐらいまで働き、休日返上もよくあるのだから。速いんじゃなくて倍は働いているんだから」と。

夜はドイツらしいビアホールにご一緒したり、別荘のようなコテージで自家製のワインやビールをご馳走になったり、若かりし頃の私とっては至れり尽くせりの接待でした。そして一週間ほどSIEMENSで仕事をして帰国の前日は一人でレストランで食事をしました。6時ぐらいだったでしょうか。4家族、幼い子やご老人も含めて20人ぐらいのファミリーが大きなテーブルを囲んでいました。その側にはアコーディン弾き。映画のワンシーンを見ている気分なるとともに、一人で食事している私自身どうにも寂しげに思えてきました。暮らし方が違う、生き方そのものが違う、そう強く感じました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました